「That's you done」はイギリスの決まり文句。マダム・マルキンの店で学ぶ会話表現7選
2026/10/24
『ハリー・ポッターと賢者の石』の第5章で、ハリーはマダム・マルキンの洋装店で制服を仕立ててもらいます。そこで出会うのが、のちのライバルとなる青白い顔の少年です。
少年の気取った話しぶりには、イギリスの上流階級らしい言い回しが混じっています。この記事では、店に入る前のハグリッドのせりふと店内の会話から7つを選びました。
イギリスでよく使う表現にはアメリカ英語での言い方も添えています。
マダム・マルキンの店の7つの表現
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| might as well ~ | 〜してもいいだろう |
| slip off | こっそり抜け出す |
| bully someone into ~ | 〜に無理やり…させる |
| I must say | 正直言って |
| I say | ねえ、ちょっと |
| if that's what you mean | そういう意味なら |
| That's someone done. | これで終わり |
原作の引用はすべて J.K. Rowling『Harry Potter and the Philosopher's Stone』Chapter 5 からです。和訳は筆者によるものです。
① might as well ~|〜してもいいだろう
グリンゴッツを出たハグリッドは、洋装店を指さして言います。
Might as well get yer uniform
ついでに制服でも買っとくか
might as well ~ は「(ほかにすることもないし)〜してもいいだろう」という言い方です。ここでは文頭の We が省略されています。
積極的な理由はないけれど、やっておいて損はないというニュアンスです。We might as well go home.(もう帰ってもいいか)のように、あきらめ半分で使うこともあります。
The bus isn't coming, so we might as well walk.
バスが来ないから、歩いて行ったほうがよさそうだ。
might as well
〜してもいいだろう
The bus isn't coming, so we might as well walk.
バスが来ないから、歩いて行ったほうがよさそうだ。
積極的な理由はないが、やって損はないというニュアンス。あきらめ半分で使うこともある。
② slip off|こっそり抜け出す
トロッコで気分が悪くなったハグリッドは、少し休みたいとハリーに頼みます。
would yeh mind if I slipped off fer a pick-me-up
ちょいと抜けて、一杯ひっかけてきてもいいか
slip off は人目につかないように「そっと抜け出す」「ちょっと席を外す」という句動詞です。fer は for のなまりです。
pick-me-up は元気を取り戻すための飲み物のことで、ここではお酒を指しています。slip off には「服をするりと脱ぐ」という意味もあります。
I slipped off early to catch the last train.
終電に間に合うよう、早めにそっと抜け出した。
slip off
こっそり抜け出す
I slipped off early to catch the last train.
終電に間に合うよう、早めにそっと抜け出した。
人目につかないようにそっと席を外すこと。「服をするりと脱ぐ」の意味もある。
③ bully someone into ~|〜に無理やり…させる
店で隣になった少年は、ほうきを買ってもらう作戦をハリーに話します。
I think I'll bully father into getting me one
父上を言いくるめて買わせようと思うんだ
bully someone into doing something は「〜に圧力をかけて無理やり…させる」という意味です。bully は「いじめる」という意味の動詞です。
この場面では、わがままな少年が父親に駄々をこねる様子を表しています。似た形に talk someone into ~(〜を説得して…させる)があります。
They bullied him into signing the contract.
彼らは彼を脅して契約書にサインさせた。
bully someone into doing something
〜に無理やり…させる
They bullied him into signing the contract.
彼らは彼を脅して契約書にサインさせた。
bully は「いじめる」。似た形に talk someone into doing something がある。
④ I must say|正直言って
少年は、父親の意見に自分も賛成だと胸を張ります。
and I must say, I agree
それに正直言って、僕も同感なんだ
I must say は自分の意見や感想を強調する「正直言って」「本当に」という言い方です。ほめるときにも批判するときにも使います。
少しかしこまった響きがあり、イギリスの丁寧な会話でよく耳にします。I have to say も同じように使えます。
I must say, this soup is delicious.
本当に、このスープはおいしいですね。
i must say
正直言って
I must say, this soup is delicious.
本当に、このスープはおいしいですね。
ほめるときにも批判するときにも使う。少しかしこまった響きがある。
⑤ I say|ねえ、ちょっと
窓の外にハグリッドを見つけた少年が、声を上げます。
I say, look at that man!
ねえ、あの男を見てごらんよ!
I say は相手の注意を引くときの「ねえ」「ちょっと」という古風なイギリス英語です。驚いたときの「おや」としても使います。
今では上流階級風の古い言い回しという印象が強く、この場面でも少年の気取った性格を表しています。アメリカでは Hey や Look が近い言い方です。
I say, isn't that your brother over there?
おや、あそこにいるのはお兄さんじゃない?
i say
ねえ、ちょっと
I say, isn't that your brother over there?
おや、あそこにいるのはお兄さんじゃない?
古風なイギリス英語で、上流階級風の響きがある。アメリカでは Hey や Look が近い。
アメリカでは:hey
⑥ if that's what you mean|そういう意味なら
両親は魔法使いだったのかと遠回しに聞く少年に、ハリーは冷たく答えます。
They were a witch and wizard, if that's what you mean.
魔女と魔法使いだったよ、そういう意味ならね
if that's what you mean は相手の遠回しな質問に「そういう意味なら」と答える言い方です。相手の意図を察して先回りするときに使います。
この場面のように、相手の言い方に引っかかりを感じたときに使うと、少し冷ややかに聞こえます。
I'm not angry, just tired, if that's what you mean.
怒ってないよ、疲れているだけ、そういう意味ならね。
if that's what you mean
そういう意味なら
I'm not angry, just tired, if that's what you mean.
怒ってないよ、疲れているだけ、そういう意味ならね。
相手の遠回しな質問の意図を察して答える言い方。少し冷ややかに聞こえることもある。
⑦ That's someone done.|これで終わり
ハリーの採寸と仮縫いが終わり、マダム・マルキンが声をかけます。
That's you done, my dear
はい、これでおしまいですよ
That's you done. は相手の用事や作業が済んだことを伝える「これで終わりです」というイギリスの口語です。美容院やお店、病院などで店員がよく使います。
That's me done. なら「私はこれで終わり」になります。アメリカでは You're all set. や You're all done. と言うのが普通です。
That's you done, you can pay at the front.
これで終わりです、お会計は入口でどうぞ。
that's someone done
これで終わり
That's you done, you can pay at the front.
これで終わりです、お会計は入口でどうぞ。
店員が客の用事が済んだことを伝えるイギリスの口語。That's me done. なら「私はこれで終わり」。アメリカでは You're all set が普通。
アメリカでは:you're all set
まとめ
マダム・マルキンの店では、少年の気取った上流階級の言い回しと、店員の日常的な決まり文句の両方が聞けます。I say や I must say は、話し方からキャラクターの性格が伝わる表現です。
気になった表現は、カードから保存して復習してみてください。
